手を洗って、鏡を見つめる。 さっきまで熱かった顔も、今は全然赤くない。 むしろちょっと顔色が悪くなったかも。 大きくため息をついてから、ゆっくり扉を開けて廊下に出た。 「大丈夫?」 「え、何がですか?」 そこに立っていたのは、やっぱり在原さん。 「なんかフラフラしてたから、吐いてるのかと思って」 なんでそんな優しいんですか。 また顔が赤くなっちゃうよ。 「全然!気分悪いとかじゃないんで平気です!」 「そ?よかった」 その微笑みは、ほんとは彼女に向けるべきものなんでしょ。 ズルいよ。