- 海哉 said -


「まさか、(かい)があの実胡ちゃんの彼氏役やってあげるなんてね」



「……巻き込まれ事故だって言っただろ」



「俺が知ってる海は、そう簡単に女の子を手助けしてあげるような奴じゃないんだけど」



いつもの帰路。腐れ縁の南雲(なぐも)明人(あきと)に、今日の騒動について簡単に説明した。



まあ、案の定の反応。



「実胡ちゃんと仲良くしろって、神様からのお達しかもよ?」



「冗談がキツい」



「えー、案外いいペアだと思うんだけどな〜」



「まじでない」



あんな五月蝿(うるさ)い奴、誰が仲良くなれるかよ。



「それより海、早くしないと親父さんに決められちゃうんでしょ?」



「今年の冬までだな、先延ばしにできるのも」



「相手のゴリ押しもキツいね。なんでそんなに海がいいのか」



「知らねーよ。会ったこともねーのに」



まあ、俺にはほとんど関係ねーけど。



どうせ……親の敷いたレールに沿って生きるだけだから。