いつもは夏月と登校する朝。


だけど、今日からは1人で登校する!



つもりだったのに……



「夏月!着いて来ないでってば!」


「だから、なんでいつも一緒に登校してたのに、今日からは別なんだよ。意味わかんねーって」



「独り立ちするの!」



「それがなぞなんだよ」



「夏月離れしたいから!」



「だからなんでだよ」



さっきから……いや、昨日の夜からずっとこんな感じ。


LINEで、『明日から独り立ちするから、登校は別ね!』って送ってから、ずーっとこの調子。



……夏月って、こんなに面倒だったっけ?


もう!夏月が着いてくるなら、わたしが走っていくもんね!



「みく、危ないから走るなって」


「もう!わたし子どもじゃないもん!」


「子どもだよ、俺からしたら」



同い年でしょーがっ!!!



「む……。わたしだって、か、彼氏、できたもん!」



もう、ここまで言えば、あっさり離れてくれるだろう!



嘘ついたのはごめんだけど、夏月がしつこいのが悪い!



「……え?だれ?」



「だ、だれって……」



「みくの嘘なんか、すぐにわかるんだからな」



「え、えっと……、! 同じクラスの、杉本海哉!」




「……え、まじなの?」



「ま、まじだもん!だから……杉本に悪いから、夏月とは離れるの!じゃあね!先行くから!」



急に何も言わなくなった夏月を放って、目の先にあった校門を走ってくぐった。これで夏月に追いつかれて質問攻めされたら、嘘突き通せる自信ないもん!



長年一緒の幼なじみとは恐ろしいね。何も言わなくても、だいたいのことバレちゃうから。



自分の中の全力疾走をして、下駄箱まで来た。……よし、ここまで来れば、ほぼ大丈夫。