「本当。なんだか、いつもより輝いて見えるから不思議ね」

 夜空一杯に輝く星を、しばらく見つめた。

 

「なあ。まだ、良太の事が心配か?」


「そりゃ心配よ。大学辞めて、大丈夫なのかな? 大学側からも厳しい事を言われたしね」


「そうか…… この間、あんた言ってただろ。いつも同じように輝いているのに、見る人の場所や状況によって輝きが変わってしまうって」


「ええ。言ったけど……」


「人も同じなんじゃないか。確かに、大学側から見れば、良太の行動は良いとは言えないかもしれない。だけど、見る場所を変えたら、結構輝いていたりするもんだ」


「えっ? どういう意味? 良太の事、何か知っているの?」


「さあな。要するに、あんたがどの場所から良太を見ているのかって事だ。いつまでも、大学にこだわっていたら、曇り空しか見えないぞ。誰から見ても、いつも輝くなんて、誰にも出来ないんじゃないか? この星だって、地球の反対側からじゃ見えないんだから……」


「そうね…… あの子なりに、頑張っている事もあるのかもしれないのよね。私がこだわり過ぎているのかもしれない…… 少しだけ、大丈夫なのかなって、思えて来た。私、カウンセラーなのに、自分の事はまるっきりダメなのよ」



 何故だか、彼に言われると、不安が遠のいていく気がする。ここ最近、良太への否定的な言葉ばかりが残ってしまって、私自信が、良太を信じられなくなってきてしまっていたのかもしれない。


「そうね。私が、良太なら大丈夫だって、信じてあげなきゃいけなかったのにね。」


「まあ、俺が言うのもなんだが、悪い事は出来ない奴だよ」


「なんだか、やけに色々知っているのね」

「まあな」


 彼は自信ありげに私を見た。

「へえー」

 私は彼をチラリと睨んだ。


「まあ、良太の事が心配かもれないが、自分の心配もしたらどうなんだ?」

「どういう事?」


「あんたブラコンだろ? 良太はこれから自立して、姉ちゃんなしでも生きていける。あんたは、どうなんだ?」


「私が自立していないとでも?」

 なんか、むかついてきた。


「そうだろ? 良太、良太で。これから一人になるぞ」


「はあ? 私には仕事も、友達もいるのでご心配なく」


 私は、ワインをぐーっと飲み干した