その星、輝きません!

 彼が座ったのを確認し、自分も椅子に座る。すると、彼は自分の椅子をずらし、私の向かいに座り直した。

 うっ。
 真正面に向き合うとやりにくい。しかし、そんな事は言っていられない。有難い事に、距離が保てるよう大き目のテーブルが置かれている。そのテーブルの上に両手を組んで置いた。


「一条さん、昨日と続けてのカウンセリングですが、何か変わった事はありましたか?」

「そうですね……」

 彼は少し考え込む。昨日の今日で変わった事などないだろうと分かっていながらの質問だ。
 だが、彼は少し間を置いて口を開いた。

「少し、整理したい事項ができました」

「そうですか…… お忙しいのですね。なかなか、ゆっくり出来ないものですね」

「まあ…… 」


 それからは、どうってことない雑談が続いた。これで、カウンセリングと言いていいのだろうか?      少し後ろめたい気もする。

「今日は、笑えるような楽しい事はありましたか?」


 昨日の話の流れもあるので、それとなく聞いてみた。

「さあ、どうでしょう?」

 彼は、意味ありげに眉間を上げた。


「こちらの滞在を楽しめるとよいですね。そろそろお時間になりますので」

 私は、ファイルを閉じて立ち上がった。


「では、明日の予約をお願いします」

「はい?」

 思わず声が張ってしまった。