「はよ〜」
俺は一週間ぶりに学校に行くことにした。少し...いや,めちゃくちゃ緊張してるけど。
「唯都⁉︎おはよ...?お前,大丈夫なんかよ」
クラスメイトの七崎(ななさき)が声をかけてくれた。
「もう,大丈夫だ。ありがとな」
俺は噛み締めるように言った。
「柳木くん...」
悲しそうな,苦しそうな...一週間前の俺のような声を出して声をかけてきたのは友紀がすごく仲良くしていた夜麻木(やまき)さんだ。
「夜麻木さんも,辛いよな。でも,辛い顔して苦しく生活するのを友紀は望んでいない。友紀は笑顔で生活して欲しい。って言う奴だよ。」
ちょっとキツくなったけど...それでも今伝えたいことだったから,友紀の代わりに伝えないといけないことだと思ったから伝えた。伝わるかな...?
「そう...だね。でも,私は,柳木くんみたいに強くないから...。友紀がいなきゃ...生きていけないっっ」
きっと俺と一緒だったんだ...。夜麻木さんは暗闇の底から抜け出せてない。
「わかるよ...その気持ち。俺だって友紀がいなきゃ生きていけないくらいに友紀のことが好きだったよ。でも,好きだからこそ,友紀の最後の願い事くらいは叶えてあげたいんだ。隣に居られないから,だから,俺は誰かとともに支え合って生きなきゃいけないんだそれが,残った俺らの役目ってもんだろ。友紀の為になにができるか,それを第一に考えている。俺なんかの...いや,俺の気持ちよりも友紀の心を優先したいんだ。それが,心からの”愛してる“って事だと俺は思う。」
心の底から夜麻木さんに伝えたいと思ったことを伝えた。
それはちゃんと夜麻木にも届いた。
「そっ...か,そう...だよね,それが,1番,友紀の為になるんだよね...いいなぁ友紀は...こんなにも大切にしてもらえる人が居て...私なんかよりも友紀の方が...生きてた方が良かったんだよね...」
なんか...か,俺も沢山言ってきたな。でもその度に...うん。夜麻木さんにはこの言葉が必要だ。
夏菜(なつな)!!」
「...え,」
「“なんか”じゃないでしょ!!私の大切な夏菜を虐めるような...落とすような言い方するの,私が許さないんだからね!!もう一生“なんか”なんて言わないで!分かった? 」
「友紀...?うっうぅ…ごめんね…ごめん…」
夜麻木さんはしばらくの間泣いていた…もちろんこの言葉は俺が友紀に言われた言葉だ。
「ごめん…柳木くん…ありがとう。」
きっと夜麻木さんももう,大丈夫だろう。
俺らに悲しみを与えたのは友紀だけど,俺らが生きようと思えたのも友紀のおかげだ。

翠星(すいせい)先輩,こんにちは」
「唯都〜,久しぶりだな!!お前,よく頑張ったな」
羽木(はねき)翠星先輩は俺が1番信頼してて1番尊敬している先輩だ
「ありがとうございます。やっと前を向けました。」
翠星先輩は俺が悩んだ時,苦しい時に誰よりも早く気がついて寄り添ってくれる,俺のお兄ちゃん的存在だ
「偉いよ。ほんとにお前は偉い。しんどかったらすぐ辞めて休憩しに行ってもいいからな。」
「ありがとうございます!!でも,頑張れると思うんで頑張ります」
「おう!」
やっぱり俺って1人じゃねぇんだな。隣に居てくれる友人がいて大切な人を大切に想ってくれるクラスメイトがいて気にかけてくれる先輩が居て…そして,心の中にずっと居て見守ってくれる人がいて…俺は,幸せだ。