ピーンポーン
「はぁい」
曇った声がインターフォン越しに聞こえる
「友紀を迎えに来ました」
俺はいつも通り,友紀のお母さんに言う
「今連れて行くわね」
しばらく待っていると
「おっはよ〜!唯都くん!!!!」
朝っぱらから元気な奴...そう思いながら一緒に行く
「おはよ。行くぞ」
「うん!!」
何をするにも元気で明るくていつも暗い俺に光をくれる。ちっちゃい頃から一緒にいて離れることはない。何故か俺はずっとずっとそう思っていたんだ。彼女は一生俺のそばに居てくれると勝手に勘違いしていた。


___永遠なんてないのに...



「唯都くん!今日も部活??」
6時間目の終わるチャイムが鳴ってすぐ,友紀が聞いてきた。
「部活だな。ごめんだけど1人で帰ってくれるか?」
俺はバスケをしている。その反面友紀は何の部活もしていないから帰りは別々なのだ。
「うん!頑張ってね!!」
「おう!友紀も気をつけて帰ろよ!」
俺は部活を休んででも友紀と帰ればよかった。そう,後悔することになる。


ダンダンダン
「パスパス」
「シュートしろー!!」
「いけいけー!」
「ナイスー!」
バスケしかやったことないからわからないけどバスケほどうるさいスポーツってあんのか?って思うくらいうるさい。そう思いつつ,やっぱりバスケは好きだから一生懸命やっている。
そしたら...
「唯都!!!」
お母さんが来た。嫌な予感がする。
「友紀ちゃんが,友紀ちゃんが...」
お母さんはそれ以上は言えないと言わんばかりに泣き出した。
「友紀がどうしたんだよ...?」
「事故に遭ったみたい...」
あぁ,なんでこう言う時の嫌な予感って当たるんだろう...

「友紀は...?生きてるよな...?」
俺はどうしても信じられなかった。いや,信じたくなかったんだ...
「それが...それがね...」



「亡くなったの」


小説でいう,頭を鈍器で殴られたような感覚に陥るというのはこういうことなのだろうか。一瞬にしてうるさいくらい響いていたバスケの音が無くなった...気がした

そこからどうやって病院に行ったかは覚えていない...でも,ただ,世界が真っ白に見えて息ができなくなるくらい胸が苦しいというのだけははっきりわかった。
「友紀...なんで,俺から,俺の前からきえたんだよ...戻ってこいよ...俺の前で,笑ってくれよ...」
誰にも聞こえない声で友紀にだけ聞こえる声で囁く。誰もなにもできないことを願う。

友紀がこの世から居なくなってからの俺は,魂が抜けたように息を吸っていた。
スマホも見ないし,学校にも行かない。いや,見れないし,行けないんだ...
スマホを見ればどうしても友紀からのメッセージを待ってしまう。学校に行こうとすれば友紀を迎えに行こうとしてしまう。
苦しくて,切なくて,悲しくて。
心にぽかりと穴が空いたような...そんな気がした。