「わたしたちってさあ、どっちが先?」
「ん、どっち、とは」
「だからぁー、そのー、」
休み時間。それなりに教室もがやがやしていて、お昼ご飯を食べていた。そんな時だった。神崎が、いきなり聞いた。神崎は、歯切れ悪く、言葉を絞り出す。

「そのー、ちょ、耳貸しーい」
「え、うん、いいけど。」

「あのじゃねー、私たちー、付き合ってるわけじゃないすかー、」

なんとなく、聞きたいことを察する。私が察したことに気づいたのか、神崎は、座り直す。私も、座り直す。私たちは、向かい合う形で、お弁当を摘んでいた。

「んっんー、で、どっちが先に好きだったのかなぁ、なんてー。」

「どっちだろね。」

正直、そんなのどうでもよかった。私は神崎が好きで、神崎は私が好き。それでいいじゃん、というのが私の意見だったからだ。

「なんだか、どうでも良さそうじゃなーい?」
「そうかも。」