3年前、安祐美は誰もがうらやむ結婚をした。
岸本 和樹は、34歳。AI会社の若き社長。モデルなみの容姿。投資にも裁量がありマンションやビルを幾つも所有するといった絵にかいたような男性だった。
安祐美の家柄も良かった。父は自分が一代で築いた不動産会社の社長で、母は元キャビンアテンダント、今はお花の先生。3歳下の弟は弁護士を目指している。こちらも絵にかいたような一家だ。


和樹は、会社主催のパーティを開いた。若い起業家が集まる派手なパーティだった。安祐美の父は和樹と仕事上で取引があるので招待されていた。女性同伴と招待状に記されていたので父は娘の安祐美を連れていた。

和樹の悪友たちが集まっていた。
「来ましたね・・・」
「噂の音羽不動産のお嬢様・・・」
「噂通りの可憐なお嬢さんだね。」
「岸本・・・お前、行くよな。」
「当然だろ。あのお嬢様はモノにするさ。」
「お前がやめたら俺が行くから直ぐ教えろよ。」
「それはない。残念だったな。」