※あの乙女はニセモノです


正直真央の口からゆりの名前が出た時はちょっと焦ったけど、亜子思ったよりも普通でよかった。



思いもしなかった話題だったけど場も和んだし、知らなかったことも知れてちょっと面白かったな。



でもそう思っていたのは私たちだけだったみたい。



莉音ちゃんの表情はどんどん険しくなっていた。



「…莉音ちゃん、元気なさそうだけど大丈夫?」



「え、あっ、えっと…あの、お2人は夏くんの昔のこと、知ってるんですか?」



「莉音それは...」



「真央は黙ってて!...確かに、私の口から言うことじゃないかもしれない。でも..、それでも私は知りたいの」



莉音ちゃんは、真央の言葉を遮る様に口を開いた。



さっきまでの淡々としたような口調じゃなくて、どちらかというと震えたような声。