※あの乙女はニセモノです


小柄でサラサラとした黒い髪。



私の顔を見るなりそっぽを向いてしまったけど、少し見える横顔はまだ幼さが残っているように見える。



それを考えると中学生くらい?



だとしてもこの子も男。



間違ってもお礼なんて言いたくない。



男に感謝する事なんて絶対ない。



そう、思ってただろうな、ちょっと前の私なら。



もちろん今だって特別なことがなければ言いたくないけど。



でも一応はおばあちゃんを助けてもらった恩人だし。



「あの。おばあちゃんを助けて頂いて、ありがとうございました…」



こっちを見てるかは分からなかったけど、とりあえずペコッと頭を下げた。



「いえ…。俺はたまたま通りかかっただけですので」



未だにそっぽを向いたままだったけど、まだ声変わりしていないのか男の子にしては少し高めで優しい声が不思議と心地よく耳に残った。



なんでだろう。