屋上に来れば、伊月くんとふたりきりになれる。

だけど、いつもそうとは限らない。

なぜなら……。


「おーい、伊月いる? あ、いた。なぁ、お前、昨日上げた動画だけどさ、……あれ、真桜ちゃんまたいるの」

「……」


屋上の扉が開いて、顔を出したのは延藤くん。

お互いの正体がバレて以来、伊月くんと延藤くんは、よくふたりで話すようになった。

延藤くんなんて、私がいてもいなくても、お構いなしに間に入ってくる。