「まぁ、一時的なものだとは思うんだけどな。きっと、みんなすぐに飽きるだろ」


そうかな……。

伊月くんがまたナデシコとして歌うようになって、動画サイトにも久しぶりに新しい歌がアップされた。

休止期間が長かったこともあって、話題性は充分。

再生回数は一気に伸びて、ナデシコの新規ファンもとても増えた。


そんな人が同じ学校にいると分かっていて、すぐに飽きるとは思えないんだけど……。


「真桜は大丈夫か? また俺のとばっちり食らったりしてないか?」

「うん、私は全然だよ」


一応、それは嘘ではなかった。

去年みたいに、伊月くんのことを好きな女子に嫌がらせされるんじゃないかと、考えなかったわけじゃない。

だけど、ナデシコの活動が再開したのは、私の存在があったからだと、噂されるようになって、むしろ感謝されることもあるくらい。