一晩どうお願いをしようか考えた私は、次の朝にリングを呼んだ。

『決まりましたか?私はどんな答えになろうと、ネオが望む限りついていきます。『約束』をしましたから。『あなたと一緒にいる』と。』

私の顔を見るなりリングは微笑んで言った。

「…本当…!?」

『こうして……』

彼は、前に私が聞いた時にしたように、自分の小指をそっと、私の小指と絡めた。

「あ……」

『これは、『約束』という意味なのです。』

「…そうだったんだ…!!」

リングだけは信用できると強く信じ、私がリングに、ずっとそばにいてくれるかを聞いたときにしてくれた、あの仕草…

『本来は『ゆびきりげんまん』と言って、大切な約束をした際、『嘘をついたらこぶしで一万回叩く、針を千本飲む。』という意味だと言われています。それほどに大切な約束をしたのだから守ります、ということです。』

「怖いのね……」

でも、私が不安だったときにした約束を、リングが大切なものだと思っていてくれたのがとても嬉しかった。

『ネオが望まないのなら、げんまんと針はしません。ですが、私は約束をしたのです。ネオが拒まない限り、私はあなたと共に行きます。』

「ありがとう、リング……!!」

そして私はリングに、自分の考えを打ち明けた。

「この世界に人間がいないか、私たちを助けてくれる人がいないか、探しに行こ…!しばらくは私、出ても平気なんでしょう?」

『このスーツを着ていれば大丈夫です。旧時代のものですが、大切に保管されていました。ネオの身体の強度と掛け合わせて調べるためにあったいくつかのサンプルの一つだと思います。スーツの耐性や強度…どれだけ耐えられるかと強さは調べておきました。』

「ありがとう、リング…!!あなたは何でもできるのね!…あとね……もう一つ、したいことがあるの……」

恥ずかしがって言った私に、彼は首をかしげる。

『なんでしょう、ネオ?』

「…やっぱり今は秘密…!いられる場所と食事のカプセルとかバッテリーが何とかなったらね!」

『はい。』


出かける支度をすることになった。とは言っても私の方は、食事のカプセルとスーツの替え、着替え、それを入れるカバンくらいしか持ち物がない。
私は自分が描いた数枚の絵と、絵を描く道具を手に取る。

『ネオ。』

部屋にリングが戻ってくる。

『こちらに来てください。ここを発つ前に、あなたにぜひ知らせておきたかったのです。』

「なぁに?」

『廊下の気候がネオの部屋と同じなのは確認済み…部屋を出て大丈夫ですよ。』