朝、いつもより早く目が覚めた。
リングはこの部屋にも絵の部屋にもいなくて、私は待つしかない。
いつもくらいの時間に、リングは私の部屋に帰ってきた。
リングも私と同じ、部屋の外は禁止だった。
先生がいうには、
『私の世話をするのに、部屋の外に出ない私から離れるのはおかしい。』ということらしい。
でもきっと、本当はリングにも私にも知られたくないものがあるからなのかもしれない。
(いいな…私も、部屋から出てみたかった…)
私は『出られない』、リングは『出てはいけない』。たったそれだけ。
でもそれは大きな違いだった。
「おはようございます、リング。今日は誰かいた??」
私はいつも通り、笑ってリングに朝の挨拶をした。
『ネオ、おはようございます。残念ですが、誰もいませんでした。』
「っ…誰!?」
私は振り返り、周りを見渡した。
確かに聞こえた、優しい男の人の声。
でもそばにいるのは戻ってきたリングだけ。もうあとここには誰もいない。
『私ですよ。』
「……リング…??」
私がリングを見つめてたずねると、彼は微笑んだ。
『はい、ネオ。』
「あなた…しゃべってる…!!口は動かないし、声のトーンはあまり変わらないけど…」
リングは悲しそうにしながら言った。
『元々は、私も話が出来たのです。けれど、ここの職員たちは私を連れてくる際、私がネオと話をするのを恐れました。そして私のその能力を消去…話をすることが出来ないようにされました。』
「どうして…ひどい…!」
『あの人たちからすれば、仕方の無いことなのです。みんな、私がネオと話が出来ていたら、あなたがここから逃げてしまうかもしれないと考えていました。手放したく無いのだから。』
「……私は…大事な『サンプル』だから…」
悲しくて下を向いた私を見て、リングはそばに来て悲しそうに微笑んだ。
『悲しいことですが、人間はめずらしいことが『すごい事』だと思うものなのです。みんな、ネオがうらやましいのですね。今の人間たちは新人類になってしまった。暑い、寒い、美味しい、心地良い、様々な感覚を、ネオとは違って感じることが出来ないのですよ。だからみんな知りたいのです。』
「…。」
『ネオ?私はネオとお話をするために、誰も戻ってこないことを見計らって、また話ができるようにしてきたのです。これでまた仲良くしてくれますか?』
私は嬉しかった。
ずっと、先生やここの人以外と話がしたかった。それが友達になったリングならなおさら。
「もちろん…!!とても…嬉しい…!!」
リングはこの部屋にも絵の部屋にもいなくて、私は待つしかない。
いつもくらいの時間に、リングは私の部屋に帰ってきた。
リングも私と同じ、部屋の外は禁止だった。
先生がいうには、
『私の世話をするのに、部屋の外に出ない私から離れるのはおかしい。』ということらしい。
でもきっと、本当はリングにも私にも知られたくないものがあるからなのかもしれない。
(いいな…私も、部屋から出てみたかった…)
私は『出られない』、リングは『出てはいけない』。たったそれだけ。
でもそれは大きな違いだった。
「おはようございます、リング。今日は誰かいた??」
私はいつも通り、笑ってリングに朝の挨拶をした。
『ネオ、おはようございます。残念ですが、誰もいませんでした。』
「っ…誰!?」
私は振り返り、周りを見渡した。
確かに聞こえた、優しい男の人の声。
でもそばにいるのは戻ってきたリングだけ。もうあとここには誰もいない。
『私ですよ。』
「……リング…??」
私がリングを見つめてたずねると、彼は微笑んだ。
『はい、ネオ。』
「あなた…しゃべってる…!!口は動かないし、声のトーンはあまり変わらないけど…」
リングは悲しそうにしながら言った。
『元々は、私も話が出来たのです。けれど、ここの職員たちは私を連れてくる際、私がネオと話をするのを恐れました。そして私のその能力を消去…話をすることが出来ないようにされました。』
「どうして…ひどい…!」
『あの人たちからすれば、仕方の無いことなのです。みんな、私がネオと話が出来ていたら、あなたがここから逃げてしまうかもしれないと考えていました。手放したく無いのだから。』
「……私は…大事な『サンプル』だから…」
悲しくて下を向いた私を見て、リングはそばに来て悲しそうに微笑んだ。
『悲しいことですが、人間はめずらしいことが『すごい事』だと思うものなのです。みんな、ネオがうらやましいのですね。今の人間たちは新人類になってしまった。暑い、寒い、美味しい、心地良い、様々な感覚を、ネオとは違って感じることが出来ないのですよ。だからみんな知りたいのです。』
「…。」
『ネオ?私はネオとお話をするために、誰も戻ってこないことを見計らって、また話ができるようにしてきたのです。これでまた仲良くしてくれますか?』
私は嬉しかった。
ずっと、先生やここの人以外と話がしたかった。それが友達になったリングならなおさら。
「もちろん…!!とても…嬉しい…!!」