朝、私は食事用カプセルを飲み、ふたりで支度を済ませる。


「おはようございます、おふたりとも。よく眠れましたか?ネオ様はお食事を済ませられたとのことで、何も振る舞えずに本当に申し訳ありませんでした…」

応接間という部屋に呼ばれた私たちは、ゆったりとしたソファーで昨日のお姫様のそばにいた女の人に話を聞くことになった。

『いいえ、久しぶりにネオに暖かい寝床と設備を頂き、本当にありがとうございました。』

リングは私よりも先にお礼を言ったので、私も続いて言った。

「よく眠れました、ありがとうございました!…あの…お姫様は…?」

そう、この部屋にいるのは女の人だけ。

「はい、姫様はお勉強の最中です。まだ彼女には聞かせられない話もありますのでお許しください。」

女の人は困った顔で少し笑った。

「そうですか…。でも、たくさんお話聞かせてもらえるなら…よろしくお願いします!」

『では早速ですが、あなたの知っていることでかまいません。この国のことを私たちに教えて頂きたいのです。』

女の人は真剣な顔で私たちを見つめて言った。

「…私が知っているのは、ここのことだけではないのです…。ネオ様のことや、世界のことも知っています。あなたには辛い話になるかもしれません。ネオ様、それでもお聞きになりますか…?」

「えっ…」

私は有名らしい。
でも、こんなに離れた場所でも私のことを知っている人がいる…この人は一体何を知っているんだろう?
私には辛い話になるかも、って…

でも、私たちがここまで来たのは本当のことを知って、協力してくれる人を探すため…

「はい、教えてください…!そのために、リングと頑張ってここに来たんだから…!そうだよね、リング?」

リングはそれを聞くと真剣な顔で頷いてくれた。

「分かりました。ではまず私の正体をお教えしましょう。私がネオ様を良く知っているのはそのためです。」

この国に、お姫様以外に人間はいないとあの人たちは言っていた。この人は他の人と同じアンドロイドではないんだろうか?

「私は元々、姿の無い記憶装置でした。ある研究所によって作られた私は、当初は感情も無いただの機械。その私に、この世界とこのドームの経過、そして研究所に閉じ込められたある少女のことを記憶させました。まずはこの世界がどうなっていたのかをお話しましょう。」