研究所でもずっと、後ろ指をさされ続けた私。
周りとは体も感覚も違う『旧人類』で、誰にも理解されない。
ここでも…
『ネオ。あなたは何もおかしくありません。ごらんなさい、この方たちは人間では無いそうですが、ネオと同じ、みな動いています。『生きて』います。旧時代には、周りと違う体質や姿をはねのけ、強く生きた人間がいたのですから。』
「…そうなんだ…リングがそう言ってくれるなら…もう私、気にしないよ…!」
私はもっと前を向くことにした。リングがいてくれるなら、私はきっと自分でいられる…
「お付きのカイナ様のご命令だ、手を開放する。妙な真似はするなよ。」
キラキラした飾り付きの大きな扉前まで来ると、ひとりが私たちの手を縛っていたものを外してくれた。
『もう一つ、お願いしたいことがあります。この部屋の環境計測をさせて頂きたいのです。人間の姫君の城であれば、環境を整える装置はあるはずですね?彼女もメットを外してお姫様にお目通りを願いたいのです、お許しくださいませんか?』
リングはそうお願いしてくれた。
「…仕方がない、その測定機以外は持ち込み禁止だ。他の荷物はまだ預かる。」
飾り付きの扉が開かれ、私たちが進むと扉は閉じられた。
広い部屋にある、赤いフカフカとした布が敷かれた細い道を進むと、一、二段高い段差に半透明な壁があり、その奥からは心配そうな若い女の人の声と、小さな子の楽しそうな声が聞こえる。
「姫様、そんなに姿をさらしては…!」
「はじめてのおきゃくさまには、こうしたほうがいいんでしょう??」
まだ姿はよく見えない。
私たちは段差の前に立ち止まり、お姫様が出てくるのを待った。
『ネオ、測定を開始します。待っていてくださいね。』
リングが小さな機械をかざした、その時だった。
スッッ……
半透明な壁が消える。
中に見えたのは困った顔の若い女の人と、小さな女の子がニコニコと楽しげに笑っている姿。
小さな子を見たのは初めて。
私より小さな手足で、私たちの飛んできた青い空のような、そんな色の『ドレス』を着ていて、そして…
「!!」
私はその顔を見てとても驚いた。
リングもとても驚いたらしい。私と同じくそのまま少しの間動きが止まりだまっていたけれど、やっとリングは言葉を口にした。
『私にインプットされていた、ネオの幼い頃の情報と一致しています』
リングの言うとおり、その子の姿は、研究所にあったパネルで見せてもらったことのある、私の小さな頃にそっくりだった。
「…こちらはこの国の姫様にあらせられます。たとえ他所からのお客様だとしても…」
ぼう然とする私たちに、女の人はさらに困った顔でそう言った。
『大変失礼いたしました。計測完了いたしましたのでご挨拶させていただきます。』
リングはそう言って二人に向かって頭を下げると、私に声を掛ける。
『ネオ、スキャンが完了しました。メットを外しても大丈夫です。まずは挨拶をしましょう』
私は慌ててメットを耳に掛ける形(ヘッドホンのような)に戻し、外して首に掛けた。
周りとは体も感覚も違う『旧人類』で、誰にも理解されない。
ここでも…
『ネオ。あなたは何もおかしくありません。ごらんなさい、この方たちは人間では無いそうですが、ネオと同じ、みな動いています。『生きて』います。旧時代には、周りと違う体質や姿をはねのけ、強く生きた人間がいたのですから。』
「…そうなんだ…リングがそう言ってくれるなら…もう私、気にしないよ…!」
私はもっと前を向くことにした。リングがいてくれるなら、私はきっと自分でいられる…
「お付きのカイナ様のご命令だ、手を開放する。妙な真似はするなよ。」
キラキラした飾り付きの大きな扉前まで来ると、ひとりが私たちの手を縛っていたものを外してくれた。
『もう一つ、お願いしたいことがあります。この部屋の環境計測をさせて頂きたいのです。人間の姫君の城であれば、環境を整える装置はあるはずですね?彼女もメットを外してお姫様にお目通りを願いたいのです、お許しくださいませんか?』
リングはそうお願いしてくれた。
「…仕方がない、その測定機以外は持ち込み禁止だ。他の荷物はまだ預かる。」
飾り付きの扉が開かれ、私たちが進むと扉は閉じられた。
広い部屋にある、赤いフカフカとした布が敷かれた細い道を進むと、一、二段高い段差に半透明な壁があり、その奥からは心配そうな若い女の人の声と、小さな子の楽しそうな声が聞こえる。
「姫様、そんなに姿をさらしては…!」
「はじめてのおきゃくさまには、こうしたほうがいいんでしょう??」
まだ姿はよく見えない。
私たちは段差の前に立ち止まり、お姫様が出てくるのを待った。
『ネオ、測定を開始します。待っていてくださいね。』
リングが小さな機械をかざした、その時だった。
スッッ……
半透明な壁が消える。
中に見えたのは困った顔の若い女の人と、小さな女の子がニコニコと楽しげに笑っている姿。
小さな子を見たのは初めて。
私より小さな手足で、私たちの飛んできた青い空のような、そんな色の『ドレス』を着ていて、そして…
「!!」
私はその顔を見てとても驚いた。
リングもとても驚いたらしい。私と同じくそのまま少しの間動きが止まりだまっていたけれど、やっとリングは言葉を口にした。
『私にインプットされていた、ネオの幼い頃の情報と一致しています』
リングの言うとおり、その子の姿は、研究所にあったパネルで見せてもらったことのある、私の小さな頃にそっくりだった。
「…こちらはこの国の姫様にあらせられます。たとえ他所からのお客様だとしても…」
ぼう然とする私たちに、女の人はさらに困った顔でそう言った。
『大変失礼いたしました。計測完了いたしましたのでご挨拶させていただきます。』
リングはそう言って二人に向かって頭を下げると、私に声を掛ける。
『ネオ、スキャンが完了しました。メットを外しても大丈夫です。まずは挨拶をしましょう』
私は慌ててメットを耳に掛ける形(ヘッドホンのような)に戻し、外して首に掛けた。