しばらくすると、二、三人さっきの人たちがやってきた。

「まずは体内検査だ。これは姫様へお目通りのための義務になる。そちらの子供もだ。」

『体内検査?ああ、体内に何かを隠し持っていないか、ですか。彼女に余計な干渉をしないのであれば、私ともどもかまいません。』

「…リング……」

私は意味がわからず不安になり、リングを見つめた。

『大丈夫ですよ。この方々は、私たちが体の中に危ないものを持っていないかを調べたいということです。ネオ、あなたにひどいことは、誰であろうとさせません。』

リングは私を安心させるように優しく笑ってそう言った。


私たちは何もない部屋に連れてこられた。

「そこに立て。まずは旧式のお前からだ。」

何も置かれていない壁を後ろに、何かの機械がリングがいる方に向けられた。

何も無くリングは平然と立っている。

「次はお前だ。」

呼ばれた私も言われた場所に立つ。
リングがすぐ近くに来てくれたけれど、手は縛られて繋げないため、怖くなり目を閉じた。

しばらくそうしていたけれど、みんな黙ったまま。

『ネオ、もう大丈夫ですよ。』

リングが穏やかに教えてくれた。

目を開けると、すぐそばにいたリングが体がくっつくくらい寄ってきてくれた。

部屋にいた人たちは何も言わず、ぼう然とそばのモニターを見ている。

『何かおかしいことがありましたか?』

リングは穏やかにその人たちに声を掛ける。

「…何だこれは…旧式の方に異常は見られない。だが子供の方は…」

「こんなもの、見たことがない…!!」

『言ったでしょう?彼女は『人間』なのだと。』

リングは穏やかにそう返す。

すぐそばのドアが開いた。別の部屋にいたらしい一人が入ってくる。

「この者たちの荷に入っていたカプセルから、栄養剤が検出された。…旧式には必要ないものだ。飲んでいたのはお前か?」

もちろん私の方を見て聞かれる。

「はい…そのカプセルは私のものです…。無いと栄養が足りなくて生きていけません…飲まないとお腹もすくんです…!」

私は一生懸命答える。

『その他に鞄に入っていたものは、彼女の飲む精製水の入った水筒、水の生成機、日用品、環境測定機、非常用品、救急用品、古き時代の画材用具一式、違いますか?』

リングの言葉にその人はゆっくりと頷く。

「…その通りだ…」

「…確かに危険なものはなかった。姫様のもとで詳しく聞かせてもらう。」

私たちは外に出るよう案内される。

『私たちもお尋ねしたいことが山ほどあります。どうぞよろしくお願いします。』

リングはその人たちに頭を下げた。