リングは乗り物をドーム近くの地面に降ろし、ふたりで乗り物の中からそれを見てみることにした。

その半透明なドームの中には何かいくつもの建物のようなものが見える。
なぜか中がぼやけて見えるけれど、何人か何体か、誰かの姿も見えた気がした。

「誰かいる!アンドロイドか人間かな!?」

『建物らしきものも見えますが、住居なのでしょうか?もしかすると、このドームは街なのかもしれません。拡大してみましょう。』


そうこうしていると、いつの間にかそのドームから何人もの『人』たちが出てきたらしく、乗り物の周りを取り囲んでいた。

人間らしいと分かり喜んだのもつかの間、その人たちは当たると危ないようなものを手に持っていて、それを振り回している。

「おい!!降りてこい!!」

「不審なやつめ!」

その人たちは口々に私たちがいる乗り物の中に向かって叫ぶ。

私たちは突然の出来事に、乗り物の中でぼう然とした。

「…この人たち、怒っているみたい…」

リングは考え込んだようにして言った。

『そうですね、彼らはだいぶ興奮した様子です。それに正体がまだ分かりません。まず私がコンタクトを取ってみましょう。ネオ、一度外にこちらの声が聞こえるよう、スイッチを入れます。』

リングは中の声が聞こえるようスイッチを入れ、その人たちに向かって聞いた。

『私たちは旅の者です。あなた方は何者ですか?あなた方のことが分からない限り、私たちは降りるわけにはいきません。』

すると、その人たちは興奮したように叫ぶ。

「旅の者だぁ!?他の地から誰か来るなどあり得ない!」

「そんな妙なもの、いつの間に作った!?」

「ドームの外に出る許可は取っていないだろう!?」

リングはマイクのスイッチを一度切った。

「…私たちの乗り物、何かおかしいのかな…?それに、旅して来たって言うのを信じてくれないみたい…」

私は何がなんだか分からずにリングに話しかける。

『そのようですね。他から来るというのがあり得ない、というのはどういうことでしょう?それに、この乗り物は昔に作られたもの。星の至るところにこのような乗り物は普通にあり、珍しいものではないはずです。』

私はその人たちを見回す。

「でもこの人たち、見たことがないみたい…」

リングは首を傾げた。

『この星のほとんどに普及…行き渡っていたはずの、主流の型のはずなのです。見たことくらいあるはずだと思っていたのですが、この方たちはまるで』