ジペットさんやお人形たちに別れを告げ、私たちは空へ。
どこかに見える陸地を目指して飛んだ。

「長い距離は飛べません。ネオにも負担がかかってしまうかもしれませんからね。早く陸地が見えればいいのですが」


広く続く海を見ながら、乗り物は空を進む。

はるか昔、大小色々な大きさや形の生き物や、この乗り物よりも大きな生き物が海には数え切れないほどいたのだとリングは教えてくれた。
その数は、人間にもアンドロイドにもロボットにも見つけ切れないほどだったと言われていたらしい。

私もしっかりとシールドがされた窓から見ていたけれど、海を泳ぐという大きな生き物すら見つからない。

何もない海。

「…生き物、どこに行っちゃったんだろう…リングは私たちのいた場所の地面にも、普通に周りにも、生き物はいたって教えてくれたのに…」

それを聞いたリングの表情が一瞬、悲しそうに歪んだ気がした。

リングは何かを知っているのかもしれない。聞いたらリングを悲しませてしまうのかも…
これ以上困らせては…

私が慌てて「もう大丈夫」と直そうとすると、リングは私を見てニコリと笑った。

『宇宙に、飛び立ったものもいるのかもしれませんね。生き物は進化…生きるために体を変えていくことをしますから。私たちが知らないうちに、体に宇宙の耐性ができ、宇宙へ飛び立ったのかもしれません。この星もそのほんの一部、宇宙は果てしないと言われています。きっと可能なこともあるでしょう。』

…そんなことができるのだろうか。

そこはきっと簡単には行けない場所。
私たちには簡単には行けない場所なのに、少しの間に他の生き物にはそれができるのだろうか?

…リングは私を慰めるために嘘をついたの…?でも私を傷付けるために嘘を言ったはずはない。

「…そうなのね…そうかもしれないね…!そっか、ありがとうリング…!」

私は知らないふりをして、リングに笑ってお礼を言った。



リングとおしゃべりをしたり眠ったりして過ごし、やっと一つの陸地が見えてきた。
でも一番最初に目にしたのは…

「あ、あれ…!!」

『一体あれはなんでしょう?この地域の家、ではなさそうです。比べものにならないほどの大きさになります。』

ふたりで見たものは、半透明な大きなドーム。

リングのご主人様の家より、ジペットさんの家より、王様の建物より…今まで見たどの廃墟より比べ物にならないほど大きなもの。

『ここは大きな『島』のようですが、このドームはその全体をほぼ埋め尽くすほどの大きさです。』