次の日、ジペットさんはたくさんのお人形を見せてくれた。

『ネオ、紹介しよう。私の子供たちだ。』

人形たちはジペットさんの仕事場を元気に動き回り、作業をしていた。

私を見るとみんな手を振ってくれる。

『ふたりがもらってきてくれた、私たちの分ではないバッテリーがピッタリだったのさ!外にもいるんだよ。窓から見てごらん?』

私がワクワクしながら窓から外をのぞくと、ジペットさんの運んできた機械たちを、今日はお人形たちが直しているらしい。

『手伝いがいてくれれば、並んでいた機械たちもすぐ直るさ!皆バッテリーが切れていたが、これならずっと動けるはずだ。』

「良かった…!!」

これならジペットさんに何かがあっても、お人形たちに何かがあっても、みんなで助け合うことが出来る。

これでしばらくは、私のカプセルもふたりのバッテリーも心配はいらなくなった。
でも私たちに協力してくれる人はまだ見つからない。

私たちはこれからについて話すことにした。


『次は、別の大陸を見に行きたいのです。管理者様に頂いた乗り物ならば、多少の気象変化があっても耐えられるかと。』

「本当!?海の向こうへ行けるのね?」

私は胸がドキドキしながらそう聞いた。でもリングは真剣な表情のまま。

『乗り物や私は大丈夫なのですが、ネオが心配なのです。』

私が何かあるんだろうか。
私は聞きたいような、聞きたくないような、そんな変な気持ちになった。

リングは私に説明してくれた。
旧式アンドロイドは、気象変化があった頃を想定して造られている。もらった乗り物も同じで、リングが旅立つ前に得た知識と同じ、材質と造りをしているそう。
だから、今までこの星の歴史にあった天気や気圧の変化には対応しているらしい。
もし別の大陸で天候を管理されていなかったとしても、多少は大丈夫とのこと。

リングは困った表情に変わる。

『しかしネオは、生まれてからほとんど研究所にいたのです。気象変化があったとして、それにどの程度耐えられるのかが分からない』

私は悲しくなった。

「…私、行けないの…?そんな……嫌…!リングに置いていかれるなんて、嫌…!!」

私の体のせいで、私はリングといられなくなるかもしれないなんて…

『ネオ、あなたが心配なのです。もしあなたにもしものことがあれば私は』

『泣かないでおくれ、ネオ。仕方がないんだよ。人間は天候が崩れただけで、頭や体に痛みが起きたり、具合が悪くなったりするそうだからな。リングもおじいちゃんも、ネオにそうなってほしくはないんだよ。』

優しく声をかけてくれるふたりの言葉に、私はふと顔をあげる。