そういえば、王様は人間はここにいないって……
それなら、ここに来て最初に会ったあの人達や、今リングを案内してくれた人は何者なんだろう??

人間に見えたのに……


私が乗り物に乗り込んでリングを待っていると、外から声が小さく聞こえてきた。
リングの声だ。

『これは、空を飛ぶための物ではありませんか?こちらは小型ではありますが、海を渡るための物。どれも人間の造った旧式のものですね?このまましまってあったということは、あなた方はやはり』

やはり?やっぱりってどういう意味だろう?

私はしばらく耳をそばだてて聞いてみた。

『管理者様、あなただけでなく、新しい型のアンドロイドたちもなのですね?もう諦めてしまったのですか?』

雑音も無く、リングの声だけが響く。
リングのしか聞こえないのはきっと、王様がまたリングの中を通して話をしているからなんだと思う。

リングの声がまた聞こえてきた。

『管理者様、私は人間をもとに造られました。ですから諦めません、ネオのためにも。私はそのために生まれてきました。人間は、誰かと共にあるために生まれてくるのです。私を造って下さった主人も、私の中の人間の想いもそう言っています。』

他の地域に『人間』がいないかを探す。
ここのひとたちはそれを諦めてしまったのかもしれない。
リングは私のためにもと言ってくれた…

『そうですね、きっとそう。私の考えは主人と、なによりもネオに似たのです。アンドロイドの私が人間に似る、というのはおかしいと思うかもしれません。しかし私は、それを誇りに思います。』


ネオは周りに頭を下げてから、私のところに戻ってきた。

『ネオ、開けますよ?王様は、カプセルとバッテリーと、空を飛ぶ乗り物を下さいました。この乗り物を載せて、一度ジペットさんのもとへ行きましょう。』

「本当!?ありがとうございます、王様!!」

私は乗り物の外に出て見えない王様にまたお礼を言うと、リングと一緒に、空を飛ぶという乗り物を見に行った。


「おおきい……!!」

何人も乗れそうな大きな空を飛ぶ乗り物。
二人くらいしか乗れないリングの乗り物ならしっかり載せられそう。


リングは、乗り物を、二人で乗った空を飛ぶ乗り物に載せてから、大きなこの建物の出口まで動かした。

「ありがとうございました〜!さよなら〜!!」

『ありがとうございました。』

リングが設定してくれたスピーカー機能で、私たちは外に向かってお礼を言った。