私の言葉は止まらなかった。
研究所を出てから、私は泣いて悲しんだり、怒ったり、たくさん考えることが多くなった。

これがきっと、私が研究所で出来なかった、『生きる』ということ……

「私が生き続けるために、こっちのエリアで体を機械にしなきゃダメなんて…私は嫌です!!それに、私はあっちのエリアのみんなを助けたいんです!」

『ネオ』

リングの心配そうな顔。

「ジペットさんは、周りに誰もいなくて、ずっと眠っていたから何が起きたかわからないんです!私たちが行かなかったら眠ったままだったはず!私たちも何が起きたか分からないから、何も教えてあげられなかった!それにジペットさんだってリングと同じ、バッテリーの電池や換えが無かったら、いつか動けなくなってしまう!私がお食事のカプセルを飲むのと同じです!!」

『そのような無駄を無くしてやろうと言っている。人間の体や旧式のままでは『不便』だろう。』

「そうじゃありません!!無駄なことなんかじゃないです!私は守ってくれたリングの為にも、このまま生きていきたいんです!!そのためにも、誰かに、向こうに何が起きたのかが知りたい、それに向こうで困っている人がいたら助けたいんです!!」

王様はしばらく黙ってしまった。
私たちも黙って待った。


『このエリアの分析結果、人間なる生物反応無し。他生物同じ。下級エリア、及びその他の大陸、地域、未調査のため一切不明。…姫ネオ、騎士リングの願い通り、人間用栄養カプセルと、旧式用気候充電バッテリーを、人間たちが残した分全てを譲渡する。それから、人間の言葉で言うところの『餞別(せんべつ)』を。』

「え??」

私は何を言われたのか分からず、首を傾げた。

『ネオ、王様が調べてくださった結果、このエリアには人間や生物はいないとのこと。そして他の地域は調べていないそうです。ですが、人間用の栄養カプセルと旧式用の新版バッテリーのほか、別れの贈り物を下さるそうです。』

リングが教えてくれた。

言い過ぎてしまったといまさら後悔していた私は、てっきり注意されるものだと思っていたので驚いた。

『双方ともこのエリアには必要がない。だが『餞別』も今のお前たちの役に立つ。人間らしい言葉を聞いたのは久しい。加えて、懸命(けんめい)な姫に『敬意(けいい)』を。』

人間らしい言葉……私の言葉は人間らしいものだったんだ…

『ネオ、そろそろ王様にご挨拶をして乗り物で待っていてください。なるべく中にいて、体に障らないようにです。私は贈り物を頂いたら戻りますね。』

リングは私に笑ってそう言うと、私を見守った。

「うん!…では王様、教えてくれてありがとうございました!また一生懸命、他のエリアを探してみます!」


私はすぐ近くに停めてある乗り物に乗り込んでシールドを掛けてリングを待つ。
他には何もない建物の中、リングは私からも見えるような大きな扉の前に案内されていた。