私はリングに見てもらったスーツとメットを着けて、部屋の中を少し片付けながら待った。

なんだろうこのパネル…

部屋の隅、小さなパネルが壁に掛かっていた。私の先生が使って見せてくれていたものより小さい。

何気なしにそのパネルに触れると、二人の人間が映し出された。
研究所にいたお兄さんよりも、若い男の人と…
あれ?なんだろう、もう一人のこの人、誰かに似ている気がする……この、笑った顔……

『ネオ、準備ができました。行きましょう。』

リングが私のそばに来て言う。
リングは決意を表すように顔が締まって見えた。

「…うん、ありがとう…!!行こう!」


リングと共に外に出ると、家の隅に石のようなものが積まれているのが見えた。

来たときは見なかった気がする…
リングが作ったの…?何のために…?

私にはその意味がわからなかった。でもリングが、大好きな『ごしゅじんさま』の家の前に作ったのだとしたら、きっと大切な意味があるのだと思った。

「…『ごしゅじんさま』さん、リングと行ってきます…!!」

私は家とその積み上げられた石に向かってそう言った。

『ネオ』

リングは私に笑いかけた。

『ネオはしっかりしていますね。私もご主人様に、しっかりとご挨拶をしなければ。行ってまいります、ご主人様』

そう言ったリングの、キレイなガラス玉のようなその目は、朝日でとても輝いて見えた。