リングはまた小さな機械を、周りに向かってかざした。

『ネオ。イスがあります。座って待っていてくれますか?』

「うん!」

私は言われた椅子に座って周りを見渡した。
小さな機械で出来た、小さな服を着ている人間の形のものや、変わった形のものがたくさん散らばっている中に、そのアンドロイドさんは立っていた。
その周りにもたくさんの道具や部品みたいなものが落ちている。


リングはそのアンドロイドさんをチェックしたあとバッテリーを確認すると、何かをアンドロイドさんと繋いだ。

そのあと部屋中を見回ってから言った。

『周りにあるのは小さな機械人形のようですね。彼も害を成すようなものを持っていないようです。彼はおそらく機械技師でしょう。』

「きかいにんぎょう??きかいぎし?」

『機械技師と言うのは』

リングがそう言った瞬間、アンドロイドさんがいきなり動き出した。

『ああ、眠ってしまったわい。』

「!!」

『おや?おお、子供だ!人間の子供!!このジペットじいちゃんに、会いに来てくれたのかい!』

「じ、ジペット…さん??」

そのアンドロイドさんは嬉しそうに笑って私のそばに来た。
それからリングを見て言った。

『お兄ちゃんとふたりで来たのかい!お客さんがふたりも来てくれて嬉しいものだ!さ、お人形を見ていっておくれ!』

うろたえる私にリングが言った。

『どうやら彼は、遥か昔にいた人形職人の想いを受け継いでいるようですね。』

「…にんぎょう…??受け継ぐって……」

『これが女の子だよ。君そっくりだろう?それからこっちが男の子さ。おや?』

ジペットさんは私に嬉しそうに二体の機械人形を見せると、首を傾げた。

『ジペットさん、人形たちのバッテリーが切れているようです。』

リングは優しい顔でジペットさんに声を掛ける。

『ああそうか。私は眠っていたんだったな。この子たちを休ませるのを忘れていたのか。悪かったねえ、子供たち。』

「子供??」

ジペットさんは間違いなく、この『人形』と呼ばれたこの子達にそう言った。

『そうだ。この子たちは、このおじいちゃんの子供のようなものなんだよ。さて、バッテリーの充電をしなくてはな。済まないが、お兄ちゃんとお嬢ちゃんは休んでいておくれ。』

ジペットさんはニッコリ笑うと、キビキビと体を動かして部屋中を片付け、人形たちに何かを取り付けた。