遥か前の方に、大きな建物があった。
見ると、人間のような人や機械のような物が建物の横に並んでいる。

「リング、なんかたくさん並んでる!」

私がそう言うと、リングが少し黙ったあとに言った。

『並んでいる中に人間はいないようですが、建物の中にいるかもしれませんね。ただ、何の建造物なのかまでは分かりません。決して私のそばを離れないでください。』

「うん…!」

乗り物を停め、そっとその列に近づくと、アンドロイド、自走の機械、ロボットたちが何体も並び、感情も感じられないまま列に並んでいるのがわかった。

「…何の列だろうね…?」

リングに小さな声で聞いた。
リングは黙ったまま首を横に振って、私を招いて入り口からそっと建物の中に入った。

無数の機械たちの列の真ん中、小高い場所に巨大な入れ物があった。
並んでいるそれらはそこに向かい、中に入っていくのが見えた。

「……。」

なんだかとても、嫌な感じがした。
列になった機械やロボットたちが、真ん中の入れ物の中にどんどん消えていく。

もう少し近づいたところでリングが急に足を止める。

『ネオ、ここを出たほうが良いです。』

突然、リングが無表情でそう言った。

「え…?」

『出ましょう。人間もいないようです。』

リングは私の手をしっかり引いて、建物の外に向かって歩き出した。

「どうしたの、リング!?」

足を止め、たずねた私の方をじっと見てリングが言った。

『私はネオを見守る者です。あなたを守れるのは今、私だけなのです。あなたに危害を加えるもの、あなたの心を傷つけるものを近づけたくはない。』

私は気付いた。
きっと今リングに見える先に、私が見たら辛くなるものがある、って。

「…ねぇ、何が見えたの??お願い、教えて…!!」

リングは黙ったあと、そっと私の手をとって、行った道をゆっくりと少し戻る。

「…!!」

そこで見えたものは、列になり並んでいた機械たちが、入れ物に入った水のようなものに自分から入り、溶かされていく姿だった。

「…な、なん…で……?ここ……いったい……」