「…いつか戻って来ようね、リング…」

『はい。』


研究所の外への扉の前で振り返った。
そして私は、別の部屋で眠っていた二人に向けて、初めて、自分が出かける前の挨拶をした。

「お兄さん、お姉さん、行ってきます…!!」

そう言った私に、リングが笑いかけてくれた気がした。
気がした、と言ったのは、何だか寂しくなって、目が潤んで前が見えなかったから。

『ネオ、大丈夫です。二人ともきっと分かってくれていますよ。』

リングが私に気づいたのか、声をかけてくれた。

「…うん…!!」


研究所の中でしか生きられないと言われた私。
このままいても食事カプセルが尽きるだけ。だから、少しでもリングといられるように助けを求めに行くの。

どうなっているんだろう、世界は……

私は覚えている限りで初めての、外の世界への一歩を踏み出した。