スタンドバイユー

「それじゃあ、おやすみなさい」



あたしが言うと、



「あのさ…」



「はい」



顔を上げたあたしに、彼が言った。



「お前、彼氏とかいんの?」


突然の有樹さんの、そんな言葉に戸惑いながら、



「いないですよ、ずっと寂しく1人です」



両手を振りながら答えた、あたし。



「そっか。じゃあ、いいよな」



「ん…?何がいいんで……」



言いかけたあたしを彼がいきなり抱き締める。




「……え?ちょ…、」



そうして彼が長身を折って、あたしの顔に顔を近づける。




「何やってんだよ。目、瞑れ」



彼に言われて、




反射的に閉じた、両目。



…予想は、していたけれど。だって、目瞑れって言われたし。



この状況からすると当然の事で、つまり…




キス、された…



突然の予期せぬキスで、


しかも、人気俳優の有樹 愛が相手だなんて…


そうして、放心状態のあたしを残して、



「おやすみ」



有樹 愛は去っていった…