「先輩?寝ぼけてます?」
「………」
「せんぱーい」
「もう少しこのままがいい」
私の首に顔を埋めたままの先輩は、くぐもった声で言った
乾いたばかりの髪を撫でると、回された腕がスルリと服の下に入ってきた
「!!先輩っ」
「いーじゃん、人の裸は余裕で見るくせに」
お風呂上がりの暖かい手がゆっくりと背中を撫でる
首もとには先輩の吐息がかかってくすぐったい
「……っ」
「羽華、こっち見て」
耳元で先輩の低い声が響いて、体が震えた
顔を上げれば、意地悪な顔をした先輩と目が合う
「ね、眠かったんじゃないんですか?」
「少し羽華をいじめてから寝ようかなって」
「ひ、ひどいです」
話ながらも体を撫でる手は止まらなくて、ギュッと先輩の背中に腕を回す
「……駄目だ、やっぱり眠い」
「ふふっ、寝ましょうか」
コテンと頭を傾けた先輩の手を引いて、立ち上がる
「こんなに清純派カップル、今時いませんよー」
「たまには羽華からしてくれてもいいんだよ?」
「え!?」
何を!?
振り向けば、クスクスと笑う先輩がいて
怒った私を宥めるように、頭に手を置く先輩
「彼女が隣にいるのに静かに寝ちゃうなんて、先輩は紳士的ですね!」
「可愛い彼女が見当たらないからね」
先輩の隣に寝転んで、ギュッと抱きつけば、ポンポンと頭を撫でられる
「先輩は、私が貰ってあげますからね!」
「遠慮しとく」
「またまた~、私が貰ってあげないと、きっと先輩一生ボッチですよ!イケメン天然記念物になっちゃいますよ!」
「それなら、それで」
私を黙らせるように抱き締めると、眠そうに欠伸をする先輩
「先輩、今日も側にいてくれてありがとうございます」
「……うん」
「おやすみなさい」
先輩の胸に顔を埋めると、その後小さな声で聞こえた
「好きだよ」
おやすみ、そう言った先輩
甘い囁き
落ち着く空間も
全部、私の宝物
「先輩っ、やっぱり今すぐ結婚しちゃいましょ!」
「………そのうちね」
なんて、
この後、何年か後に先輩から求愛されて、一生一緒にいられるなんて
私はなんていう幸せ者なんだ!!
「なんか、求愛って言い方、やだな」
「えー、じゃあ求婚にします?」
「プロポーズでいいでしょ」
「ひゃああああ!!プロポーズですって!先輩っ!もう一回!」
「はいはい」
~fin~


