「……食べない、ですか?」
「……食べる」
下から目尻を下げて見上げてきた羽華
そんな顔されたら食べるしかない
しぶしぶ答えた俺に対して、表情を輝かせて台所に駆け足で向かった羽華
彼女が借りているアパートからここまでは、電車で来なければならない
それなのに週4で、まぁ、お泊まり込みで通ってくれている
すっかり、自身のキッチンよりも俺の家のキッチンの方が使い慣れている
………久しぶりに羽華の家に行った時、冷蔵庫に入ってた牛乳が腐ってたのは引いた
台所からは、最近羽華が良く聴いているアーティストの最新曲の鼻歌が聞こえてくる
目を向ければ、ニコニコと笑いながら晩御飯の準備を進める羽華が見える
を見つめる、もう一人の視線を感じた
「……見すぎ」
「え!?あ、いや~、羽華ちゃんが想像以上に可愛すぎて~」
ヘラヘラと頬を赤らめて笑う尚に、何だか居心地の悪さを感じる
………高校生男子じゃないんだから
こんなことで、ヤキモチを焼いてるなんて、自分で自分を殴りたい
連れてくるんじゃなかった
そんなことを思っても、羽華を見てニヤニヤしている尚を追い返すことも出来ず
無言の圧力で尚を返らせようか、考え始めた時、
「あの、良かったら尚くんもどーぞ?」
羽華にしては控えめに、様子を伺うようにして、尚の前に運ばれてきたハンバーグ
「え!!いーのっ?」
「はい、ひとりぼっちの湊先輩のお世話をしていもらってるお礼です!」
「なんで、俺のぼっち決定してんの?」
その後も次々と料理は並べられて、羽華がいないと使われないダイニングテーブルは、カラフルに彩られた
「うんんんんまっ!!!」
「よかったです!ちなみに、賞味期限切れてた牛乳使ったんですけど、大丈夫そうですか?」
「そろそろ、賞味期限の確認する癖つけてくんない?」
そう言いつつも、ハンバーグを口に運ぶ
確かに豆腐でできたハンバーグは、味付けが好みなお陰か、美味しく食べ終えられた
もともと、料理が壊滅的に下手だった羽華
高校在学中に、猛特訓したみたいで
羽華のおにーさんが特訓の犠牲になって、瀕死の状態になったとか、ならなかったとか


