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「え?湊、彼女にGPS付けられてんの?」

「あぁ、うん」

「怖い怖い怖い」


やっぱり会いに行くの止めようかなぁ、と苦笑いしている尚に付いて歩くこと十五分



尚に引っ張られるようにして着いた場所は、何とも可愛らしいケーキ屋だった


赤茶色のレンガの屋根に、小窓から見える店内も可愛らしい


「ここ、俺の家なんだー」

「!?」



尚とは、大学入学当初から一緒にいることが多かったのに、実家がケーキ屋だなんて知らなかった


衝撃告白をしたのにも関わらず、ニコニコと俺の手を引くと、店内に案内してくれた



こんなチャラチャラな人間が住んでいいような所なの……?


それ程までにメルヘンでお洒落なお店は、彼を連想するには甘過ぎた



「あ、尚くん、お帰り!」

「アキ兄ただいまー」



お店の奥の方から顔を出したのは、尚とそっくりな見た目をしたお兄さん?らしき人


けれど、甘い香りに似合う優しい笑み


尚とは違う雰囲気にガン見していたら、目があった


「あ、こんにちは」

「わおぅ!これはまたイケメンだね!尚くんの友達なの?」

「そそ、いつも話してる口下手ツンデレくん」

「……そんな風に俺の事話してんの?」


尚の頬をつねると、から笑いで誤魔化された


「ほらほら~、彼女ちゃんの機嫌取れるような苺タルト選んでー?」


進められるがままにケーキを選ぶ


どれも綺麗で、苺タルトじゃなくても、羽華は喜んで飛び付きそう



今度、連れてきてあげよ




「これ、お願いします」


「はーいっ、スペシャルサービスで苺モリモリにしとくねー!」


「え、いや、それ以上乗せるんですか?」


「尚くんのお友達だもん、サービスしなきゃねー!うっし!完成っ」



丁寧に箱までラッピングしてくれて、豆腐ハンバーグが嫌だからとか、そんなレベルじゃない話になってきた



「また来てね~っ」と笑顔で見送られてお店を出た