何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】


「でも、また作るよ!」

しかし、そう言って天音は顔を上げ、また京司の方を真っすぐと見た。

「妃になって、また村を作るよ。」

そう言って彼女は少し、苦しそうに笑った。
少し離れていた間に、彼女はどれだけ辛い思いをしたのだろうか…。
天音のその表情が、それを物語っていた。

「私決めたんだ…信じるって…。」
「…何を……?」

その苦し気な表情を消した天音は、今度はゆっくりと目を閉じ、噛みしめるように言葉を紡いだ。


…やっぱり君は…。



「自分…。」




…俺にはまぶしすぎる…。



京司は目を大きく見開いて、天音の真っすぐな瞳を見つめた。



「自分を信じるって…。」



天音もまた、その強い瞳を京司に向けていた。

ザ―

今はこの冷たい風がなんだか心地いい。


「天音…。」
「ん?」
「俺にも何かできる事あるのかな…。」


誰かに言って欲しかったんだ…。


「あるよ。」


そして君は真っすぐ俺を見てそう言う。