何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】

「我は革命家!!」
「は?」

京司が危機を感じ、一歩後ろへ下がった。


「死ね!!」


しかし、遅かった。
このような危機的事態を、今までは充分に警戒してきた。そう京司は教育されてきた。
しかし、今日は違った。
彼の弱気な心が、この時ばかりは油断を生んでしまった。


「しまっっ!!」



グサッ


嫌な鈍い音がその場に響いた。




「我々は反乱者でも反逆者でもない。」



カラーン


男の持っていた剣が床に落ち、その金属音が京司の耳をつんざく。



「う…。」



京司は声にならない声を上げた。



バタッ

そして次の瞬間、冷たい床に彼の身体が横たわった。



「う…あ…。」



(声が出ない…。
……なんで……こんな事になった…?)


チャリーン
その時、天音に貰った十字架のネックレスの鎖が切れて、ひれ伏す京司の目の前の床に転がった。

(ハハ…十字架か…。神様に頼めってか…?
…俺は神じゃ…ないもんな…。)


瞬く間に彼の血が辺りを赤く染める。



「くそ————!!」



そこに広がるのは赤の世界。





—————誰そ彼




—————あなたは誰ですか?