何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】


「また、僕の出番?」

青がゆっくりと口を開いた。

「ええ…。」

その青の問いに、かずさがゆっくりと頷いた。
以前は天音の定位置であってたその椅子は、いつの間にかかずさの定位置になりつつある。

「天音は前に言ってたよ。神様を信じるって…。」
「…。」

すると何故か青が、唐突にそんな事を口にした。
しかし、かずさはいつも通りの涼しい顔のままで、返答はない。

「よかったね…。」

夕日の赤い光が、今日はカーテンの開けられた窓から、青の部屋に入り込んでいた。
時刻は夕刻…。
城も夕日の赤に染まろうとしていた。



————もうすぐ黄昏時…。