何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】


授業中

「黄昏時《たそがれどき》この言葉の意味は…。」


「ZZZ」

授業中だというのに、めずらしく天音は、机に突っ伏して居眠りをしていた。
幸い先生には、まだ見つかっていないようだ。

「天音が居眠りなんて、めずらしいね。」

そんな様子を横でそっと見守っている華子が、小声で星羅にささやいた。
天音が授業中に居眠りをしたのは、これが初めて。
天音は華子とは違い、授業は真面目に受けていた。

「…。」

そんな天音の姿を、星羅はただじっと見つめていた。


「夕暮れの時間帯。人の顔の識別がつかない暗さになった頃。誰そ彼、誰ですかあなたは?と問う時間の事を言います。」