何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】


「反乱軍の者達を捕らえた!」

その日、城の前では、兵士が声を高らかに上げていた。

「さすが城の兵士だな。」
「反乱なんてバカな事を考えるもんじゃない…。」

反乱軍討伐軍によって捕らえられた者達が、次々と城へと連行されていた。
町民達はそんな様子を見て、次第に複雑な心境を持ち始めていた。

「反逆者は明日、死刑となる!」

「怖いわね…。」

そう。歓声の中には、そんな恐怖の声も聞こえた。
反乱軍討伐軍を称える声もあれば、国に反発する者が、簡単に殺されてしまう。その現実に恐怖を感じる者もいる。

「…。」

りんはその様子を、黙って見ている事しかできなかった。
昨日シドは辰と話を終えて、そそくさと帰っていったばかりだった。
仲間達の事を気がかりに思っていたのだろう。

「反乱軍のリーダーも、こうなるのかしら?」
「え?」

りんがその声に振り返り、少し視線を落として見せた。
その先には、みるかが不敵に笑っていた。

「バカみたい。」
「なんや、また嬢ちゃんかいな…。」
「自分達がこうなるのに。」

そして、みるかは、その憎しみにあふれた瞳を城に向けた。