「ハックション!」
天音が突然くしゃみをした。
「何か最近寒いなー。一定な気候じゃないじゃん!!」
天音は一人そんな事をブツブツと言いながら、城の中を歩いていた。
そして、自然とこの場所に足が向かっていた。
天音は、久しぶりに中庭の池に訪れていた。
「コイ…いないな…。」
しかし、天音がその池を覗き込んでも、以前のようにたくさんの鯉は、もうそこには居なかった。
この城を出る前はあんなにたくさんいたのに、なぜだか今は一匹も見あたらない。
誰かがこの池の鯉を処分してしまったのだろうか…。
「京司も…。」
そして、彼女が心待ちにしていた彼の姿もなかった。

