「天師教様…。」 士導長が中庭の池の前で立ち止り、ポツリとその名を口にした。 しかし、そこに京司の姿はない。 「あなたを変えたのは…。」 『きょうじって人しっていますか?』 そこにある、池の水面を見つめる士導長の瞳が揺れる。 「…天音は妃になれないのですよ…。」 そして消え入りそうな声でまた、つぶやいた。