何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】

「なんや…て…?」

りんも何がなんだかわからず、バルコニーを食い入るように見つめていた。
ただ一つ分かっているのは、今バルコニーで立って、民衆に語りかけているのは、京司ではない事だ。
それは、何度も京司の声を聞いたりんには、明らかだ。




そして

「何なの…これ…。」

同じく、星羅も困惑した表情を浮かべていた。

(あれは、京司ではない。じゃあ、一体誰?)

今、一体何が起こっているのか…。

真実を知るものだけがその状況に顔をしかめた。


そう、それは、苦し紛れの嘘。

しかし、この嘘を真実に塗り替えてしまえばいい。ただそれだけの事。


――――それがこの国のやり方。