「なーんだ。顔に布がかかってるんじゃん。」
天師教がバルコニーに現れた。
しかし、その顔には今日も布がかかっていて、顔が見えないようになっている。
その様子を見た華子は、いつかのように、落胆して肩を落としていた。
「つまんなーい。」
「そう簡単に天使教の顔は拝めないのよ。」
やっぱり華子は、演説の内容には全く興味がないらしく、口を尖らせて不満気に俯いた。
そして、星羅はバルコニーの方をじっと見上げたまま、華子に向かって言葉を投げかけた。
神の顔などそう簡単には見せない。
それがこの国のやり方。
しかし、星羅には顔なんか見えなくたってわかる。
…あれは紛れもなく天使教…。いや…京司だ…。

