何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】


「なーんだ。顔に布がかかってるんじゃん。」

天師教がバルコニーに現れた。
しかし、その顔には今日も布がかかっていて、顔が見えないようになっている。
その様子を見た華子は、いつかのように、落胆して肩を落としていた。

「つまんなーい。」
「そう簡単に天使教の顔は拝めないのよ。」

やっぱり華子は、演説の内容には全く興味がないらしく、口を尖らせて不満気に俯いた。
そして、星羅はバルコニーの方をじっと見上げたまま、華子に向かって言葉を投げかけた。

神の顔などそう簡単には見せない。
それがこの国のやり方。
しかし、星羅には顔なんか見えなくたってわかる。

…あれは紛れもなく天使教…。いや…京司だ…。