何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】



「さすがですね。預言者殿は…。」


城の廊下で、かずさは士導長の横を横切ろうとした。
その時、先に口を開いたのは、士導長の方だった。

「それは天音の事?それとも天師教の事?」

かずさが足を止めた。
それは、彼の話に仕方なく付き合うという合図。

「両方です。」

士導長が低い声で答えた。

「…天師教は殺されるわ。」
「…それも預言ですか?」

士導長は、彼女のその言葉に反論する事も取り乱す事もなく、落ち着いた声でそう問う。



「あなたは知ってるでしょ…。本当の嘘。」



かずさの冷たい瞳が、士導長をじっと見つめた。

「あなたは、いつまでここにいるつもりですか?」

士導長はまたも話を逸らすように、かずさに問いかけた。
それは、自分の事は一切話すつもりはないと言う現れ。



「永遠に…。」



「誰のために…?」