「さすがですね。預言者殿は…。」
城の廊下で、かずさは士導長の横を横切ろうとした。
その時、先に口を開いたのは、士導長の方だった。
「それは天音の事?それとも天師教の事?」
かずさが足を止めた。
それは、彼の話に仕方なく付き合うという合図。
「両方です。」
士導長が低い声で答えた。
「…天師教は殺されるわ。」
「…それも預言ですか?」
士導長は、彼女のその言葉に反論する事も取り乱す事もなく、落ち着いた声でそう問う。
「あなたは知ってるでしょ…。本当の嘘。」
かずさの冷たい瞳が、士導長をじっと見つめた。
「あなたは、いつまでここにいるつもりですか?」
士導長はまたも話を逸らすように、かずさに問いかけた。
それは、自分の事は一切話すつもりはないと言う現れ。
「永遠に…。」
「誰のために…?」

