何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】

「さってと!見つかってもうたな。」

そう言って、りんはそこにあった大きな石の上に腰かけた。
その石は、りんのヘトヘトの足を休ませるには、絶好の大きさだ。

「…そうだね。」

華子が、天音の名前を叫んでしまった事で、天音がこの町に戻って来た事は、城の者達にも知れ渡っただろう…。

「天音。国に捕まったらあかんで!」

そう言って、りんはいつものように、ニッと笑ってみせた。
この笑顔に、天音は何度救われた事だろう…。
かずさの言った通り、国は石の在りかを探る道具として、天音を捕えようとする事は、目に見えている。

「りん…。」
「絶対にあかんで。」
「大丈夫!みんながいるじゃん!!」

不安がないと言ったら、それは嘘になる。
しかし、その不安を拭い去るように、天音は三人の顔を見て笑顔を見せた。
今はみんながいる。
もう一人じゃない。

「そやな!わいらはもう仲間やなー!」

りんもそう言って答えてくれた。
そう、みんながいてくれる事が、今は一番心強い。天音もそう感じていた。

「は?」

しかし、その言葉に月斗は眉をひそめ

「まったく…。」

星羅はまだ呆れ顔だ。
たまたま今日この場に居合わせたこの四人だったが、それはきっとたまたまではない。天音にはわかっていた。