「はぁはぁ、めんどくせー!」
足を止めた月斗が叫んだ。息が上がっているところを見ると、月斗は意外と体力がないのかもしれない。
「おたずねもんの分際で何言うとんねん!」
りんが何だか楽しそうに月斗に向かってそう言った。
「俺は死んだんだよ!!」
「いや。ここにいるがな!」
そして、裏山の山奥まで来て、四人は立ち止まった。
「たく!どいつもこいつもバカばかっり!」
すると、立ち止まったとたんに、ここぞとばかりに星羅が叫びだした。
いつもクールな星羅が、感情を露わにこんな風に叫んだのを見たのは、天音も初めてだった。
「アハハハ。」
そして、突然天音が声を上げて笑った。
「…。」
星羅は怪訝そうな顔で天音を見た。
「華子、変わってなかったね!」
天音はそう言って、星羅に向かって笑いかけた。
妃になった華子は、今は城にいるが、前となんら変わらない姿を見せてくれた。
それが天音の心を、なぜかホッとさせてくれた。
「…まったく。どうしてあんな娘が妃になれたのかしら…。」
星羅は呆れたようにつぶやいた。
あんな破天荒な事をやってのける華子が、妃にふさわしいとは、星羅には到底思えなかった。

