何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】

「顔見せろよーーー!!」



その時、広場に一人の男の大声が響き渡った。

「え…?」

星羅は、りんの隣にいた男の方に視線を移す。
そう、その声の主は、フードを深く被って顔が見えない月斗の声だった。

「何が天師教だよ!!さっさと顔見せろよーーー!!」

月斗は尚も叫び続けた。
彼の周りにいた人達も月斗の方をジロジロ見だした。

「…。」

天音もぽかんと口を開けて、月斗の方を見た。
一体何が…??
そしてりんも我慢できず、口元に笑みをもらす。


「わいら騙されてるんやないかーーーー!!」


そしてりんも、そんな月斗に便乗するように叫んだ。


届け!!


「…。」


星羅が目を見張る。



「「顔見せろーーーーー!!」」



りんと月斗が顔を見合わせ、同時に叫んだ。
もちろんその大声は、京司の元にも届いていた。

「フッ」

周りがざわつき始めていたが、そんな事には目もくれず、京司が口の端を上げた。