何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】


「…。」

京司もまた、そんな華子を凝視したまま、固まっていた。
(だから、何なんだよこの女!!空気読め!!)
そんな事を叫びたい気持ちでいっぱいだった。
しかし、もちろんこんな場所で、そんな事を叫ぶわけにはいかない。

『天音見てるわよ。』

そして京司の頭の中では、なぜか、かずさの言葉がぐるぐると回っていた。

くそ!!

ガッ
京司が勢いよく、華子からマイクを取り上げた。

「ん?」

華子が眉をひそめたその瞬間…

ブチ
マイクのスイッチが切れた。いや、京司が切ったのだろう。

「スピーチくらい覚えろ。バカ女。」

そして京司が華子の肩に手を置いて、彼女へボソッと耳打ちした。

「はー!?」

華子は京司の顔を睨みつけながら、怒りの声をあげた。

「こ、これ華子!!」

見かねた士導長が華子の元へ駆け寄った。
やはり、士導長の悪い予感は的中した。