「…。」
京司もまた、そんな華子を凝視したまま、固まっていた。
(だから、何なんだよこの女!!空気読め!!)
そんな事を叫びたい気持ちでいっぱいだった。
しかし、もちろんこんな場所で、そんな事を叫ぶわけにはいかない。
『天音見てるわよ。』
そして京司の頭の中では、なぜか、かずさの言葉がぐるぐると回っていた。
くそ!!
ガッ
京司が勢いよく、華子からマイクを取り上げた。
「ん?」
華子が眉をひそめたその瞬間…
ブチ
マイクのスイッチが切れた。いや、京司が切ったのだろう。
「スピーチくらい覚えろ。バカ女。」
そして京司が華子の肩に手を置いて、彼女へボソッと耳打ちした。
「はー!?」
華子は京司の顔を睨みつけながら、怒りの声をあげた。
「こ、これ華子!!」
見かねた士導長が華子の元へ駆け寄った。
やはり、士導長の悪い予感は的中した。

