何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】

「ハァハァ…。」
「何息切らしてんだよ?」

(珍しい事もあるもんだな。コイツがこんなに息を切らして走ってくるなんてな。)
その様子を見て京司は少し笑った。
いつも冷静沈着なかずさが、息を切らして走って京司の元へやって来た。
そんな様子に京司は、少しおかしくなった。

「…天音見てるわよ。」

しかし、そんな京司とは対照的に、かずさは切羽詰った声で彼にそう伝えた。

「天音戻って来たわよ。」

そして、もう一度しっかりと京司の目を見てそう言った。

「…。」

しかし、京司は表情ひとつ変える事はない。

「これが最後の…。」
「お前も案外バカだな。」

京司はそう言って、また口端を上げ、かずさを見た。
まさか、かずさがその事を伝えに息を切らして走ってくるなんて、案外いいヤツなのかもしれない…。
そんな事を京司は密かに考えていた。



「…預言者の忠告聞かないつもり…?」