何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】



————始まりはあの日だった…。



『お前のお守りじゃろ?』
『じいちゃん…』

私はあのピアスを付けた。
そして大好きだったあの村を出た。

『泣くな夕日が見ておる。』

そして導かれた。この町へ。城へと。

『懐かしい…。』

リーン

『お前のお守りじゃろ?』


「ちがうよ。じいちゃん。」

プス
そして天音は再び、十字架のピアスを自分の耳に刺した。真っ直ぐと前を見据えたまま。

「そのピアスはあなたにとって何?」

かずさがゆっくりとした口調で、尋ねた。



「私が私であるための印。」



天音が力強くそう答えた。