————始まりはあの日だった…。
『お前のお守りじゃろ?』
『じいちゃん…』
私はあのピアスを付けた。
そして大好きだったあの村を出た。
『泣くな夕日が見ておる。』
そして導かれた。この町へ。城へと。
『懐かしい…。』
リーン
『お前のお守りじゃろ?』
「ちがうよ。じいちゃん。」
プス
そして天音は再び、十字架のピアスを自分の耳に刺した。真っ直ぐと前を見据えたまま。
「そのピアスはあなたにとって何?」
かずさがゆっくりとした口調で、尋ねた。
「私が私であるための印。」
天音が力強くそう答えた。
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