何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】


「ねぇねぇ。」

華子は出会ったばかりの青に、まるで昔からの友達のように、気さくに話しかける。

「ん?」

そんな華子に、青は優しく相槌を打つ。

「ここにいるだけじゃ、何かつまんなくなーい?」

華子は妃になったばかりだというのに、早速ここの暮らしに飽きていた。
なぜなら、ただ綺麗な洋服を纏い、部屋に一人でいるだけ。
いくら三食昼寝付きとはいえ、毎日そんな生活では、華子が満足するはずもない。
おしゃべり好きな華子は、あまりの暇さに耐えかねて、無理を言って、話し相手となる青を訪ねていた。

「そう…?」

しかし青は、どうでもいいとでも言わんばかりに、華子のその言葉には、全く興味を示そうとしない。

「ねぇ、どっか出かけたりしないのー?」

華子はつまらなそうに、目の前にある机にあごをついている。

「言ってなかったっけ?僕は目が見えないんだ。」

青は平然とした様子で包み隠す事なく、その事実を華子に伝えた。
どうせすぐにわかる事だし、華子も妃になった事だし、何とかこの状況に慣れてもらわなければ困る。

「ふーん。」

華子も驚きもせず、表情一つ変える事はなく、ただやっぱりつまらなそうにそう答えただけだった。

「…。」

青はそんな反応に眉をひそめ、華子の方へと顔を動かした。
そんな反応をされたのは、初めてだった。
人々はみな、同情の目や、憐れみの目を向けるというのに…。
しかし、華子は違った。