その日は、とても暖かかった。 村のあった荒野を後にした京司と天音は、あの町を目指した。 天音はあれから一言もしゃべらなくなった。 「見えた!あれだろ?」 沈黙を破ったのは、やはり京司だった。 「…。」 しかし、目が真っ赤に腫れた天音は、未だ堅く口を閉じたまま。 泣き疲れた彼女は、声を出す事も億劫になっていた。