何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】


「月斗、最後の言葉を聞こう。」

刑を執行するであろう兵士が、月斗に聞いた。

「お前ら聞け―!!!」

すると突然、月斗は顔を上げて、自分よりも低い場所にいる民衆に向かって叫んだ。
そして辺りはシンと静まり返った。


「俺は祈る事も、神に頼る事もしねーよ。」


月斗がゆっくりと言葉を紡いでいく。
そして、なぜか彼の言葉に、みなが釘付けになっていた。


「—————俺が信じるのは自分だけだ。」



タッタッタッ



すると、月斗が走り出した。



「しま!!」



兵士は気が緩み、手錠を持つ手の力を緩めてしまっていた。



タン